パリの灯りを消す若者たち

投稿日時 : 2022/08/19 17:30

「パルクールの専門家たちが店舗の明かりを消している」
情報サイトBrut.のウェブサイトより。

フランスのSNSでは数週間前からシェアされていたのが、パリ市内でつけっぱなしの店舗のネオンライトを消している若者たちの動画だ。

これは数年前からフランスで流行っているパルクール(Parkour)というパリ郊外の若者たちから生まれたというスポーツだ。コース、行程という意味のフランス語「Parcours」のCをKにしている。道具は使わず、自分の身体能力だけで、街中にある壁などの様々な障害物を超えたり、建物と建物の間を飛んだり、アクション映画で見られるようなものだ。

オリンピック競技にもなったスケートボードも都市の様々な場所を滑るが、それと同じ感覚で、自分の体だけで、日本で言うと、テレビ番組にもなっていて海外にも拡大しているSasukeを、実際の街中でやるという感じだ。

このスポーツをやっている若者たちが始めたのが、夜中もつけっぱなしにしている店舗の照明やネオンを消すこと。スイッチは普通では手が届かないところにあるが、「パルクール」をやっている若者たちは、その身体能力を活かして、スポーツをやりながら、道具は使わずに、高いところに登ってスイッチを消すという。

実は、パリ市などでは、原則、店舗は午前1時から6時までは照明は消さなければならないことになっている。

だが、これをやっている若者たちは、特に政治的なメッセージや環境に配慮した考えがあったからではないという。そもそも、「Lights off」というエコロジストの団体は、はしごなどを使って同じ活動をしている。パルクールの若者たちは、どちらかというと、こうした環境に配慮した活動を利用して自分たちのスポーツも広め、こうした活動がなにかのきっかけになればよいと話しているという。無理矢理どこかに侵入したり、何かを破壊するなどしているわけではなく、そもそも消さなければならない灯りを消すスイッチを押しているだけだ。

そしてフランスの一般のメディアでも取り上げられ始めた。

SNSや動画サイトでは、parkour, éteindre lumière, parisなどと検索すると動画が多く出てくるし、Brut.のウェブサイトやSNSでも動画が見られる。