オペラ座もストライキ中

投稿日時 : 2020/01/20 18:15

「ストライキ中のパリ・オペラ座が、正面広場でコンサートを開く」
Le Monde紙のサイトより。
横断幕には「文化の危機」

パリでは本日、月曜日から、「一旦」、地下鉄などの交通機関のストライキは解除された。ただ、根本的に年金制度改革問題は決着がついておらず、政府側と組合側の攻防は続いている。

そんな中、18日(土曜日)、パリのオペラ座前の広場では、オペラ座のオーケストラが即席無料コンサートで年金制度改革反対を訴えた。昨年12月24日は、オペラ座のバレリーナーが白鳥の湖を披露して年金制度改への反対を表明したが、その後、政府側は、譲歩案として、改革案(現行の特別措置の撤廃)の適用は、2022年に新規にバレリーナになる人からとしたが、今回はこのバレリーナ以外が反対を訴えたかたちだ。

12月にバレリーナが白鳥の湖を披露して反対を訴えたときは日本でも少し取り上げられたが、パリ・オペラ座(そして劇場コメディー・フランセーズ)は、1698年、ルイ14世の時代から、フランスの国家的文化として、優遇措置がとられてきたフランスの国を代表する文化機関だ。そのフランスの文化の担い手であるバレリーナ、演奏家、技術者などは1600人にのぼるという。彼らの年金受給開始年齢は、バレリーナは42歳、コーラス隊・技術者は57歳、演奏家は60歳だ。

ちなみに二ヶ月近く続いているストライキで、パリ・オペラ座では67の公演が中止で、パリ・オペラ座の損失は1400万ユーロという。

これだけ長いストライキの経済的影響はいかほどかと思われるが、たまにこのような経済損失の数字は報じられるものの、さほど問題としては取り上げられることもない。実際、フランスの株式市場の指標、CAC40もストライキが始まった12月以降、下がるどころが上昇している。(上場のトップ40銘柄なので、大企業などは関係ないということかもしれない。)

年金問題の本質(年金に限らず、すべての生活や社会に関わる問題)は、副次的な経済的影響とは別ということだろうか。