フランスの郊外問題。

投稿日時 : 2024/06/27 17:30

「ナエル、1年後:なぜフランスは40年間もバンリュー(郊外)の問題を解決できていないのか?」
地方紙La Montagneのウェブサイトより。

ちょうど1年前の6月27日、パリ郊外で一人の若者が警察官の発砲で死亡した。少年は道交法違反で警察に止められたが、指示に従わず、逃走を図り、「身の危険」があったと警察官が発砲し、少年は死亡した。

その後、パリ郊外では、警察に対しての抗議行動が続き、路上駐車していた車が放火されたり、警察署も襲われたりと、緊迫した状態がしばらく続いた。その後、なんとなく事態は沈静化していた。その後、発砲した警察官は一時拘束されていたが、現在は保釈されており、事件の真相解明も「進行中」。

そして事件からちょうど一年、しかも国会議員選挙直前のタイミングで、少年の母親は沈黙のデモ行進を求めていたり、他の地域でも少年の追悼と反極右政党を掲げてのデモを予定していたりする。

パリに限らず、フランスの大都市の郊外の問題とは、若者の教育・雇用の問題であり、居住世帯の生活・社会保障の問題、そして移民問題、麻薬取引、治安の問題だが、もう何十年もフランスが抱えている問題で、時代により、各大統領や各首相がそれぞれの対応をしてきたが、まだまだ完全には解決していない。

あと数日となった国会議員選挙で、ここへ来て「郊外問題」で、よい方向でも悪い方向でも何かあるわけではないだろうが、1年前の事件のように、何かがあればたちまち「炎上」する問題(の一つ)ではある。

そして三つ巴の国会議員選挙だが、あえて単純にいえば:
・投票予想トップの極左政党RNは、反マクロン大統領・現政権で支持を訴える。
・左派連合は、反極右で一致団結を訴える。
・与党勢力は、反極端(右も左も)を訴える。

という形で、与党勢力の戦略はマクロン大統領の賭けのポイントだったが、この賭けは無理な賭けで、望みはないという見方が大半。ただ、それ以外の可能性はどうなるかまだまだはっきりしないようだ。