意識が高いのはスポーツ選手だけではない。
投稿日時 : 2024/06/17 17:30
サプライズで決まったフランス国会議員選挙。日曜日に出馬の締め切りがあり、いよいよあと二週間の選挙選が本格的に始まった。
この間。
一次は幹部から除名されていた伝統的右派政党のシオティ氏は、裁判所の判断で、除名は無効とされ、党首のまま。そしてポスターなどに党名やロゴが使えるのは、極右政党RNと選挙協力するという候補のみに。とまだまだゴタゴタが続いている。
その極右政党だが、政策論争は三点のみに絞り、ヨーロッパ議員選挙の際に党首のバルデラ氏が「約束」していたはずの「公約」はスルーし、購買力と治安、そして極右政党の十八番の移民問題で、指示を得るという戦法。特に、年金問題に関してはあまり触れない方針のようだとされ、とくに経済政策についてはかなり弱いとされている。
一方、左派連合、「新人民戦線」と名付け、こちらは「反極右」をスローガンに週末にデモを開き、指示を訴えたり、元大統領のオランド氏も地元で再出馬を決めるなどしている。すでに4つのメインの左派系政党では8つの大きな選挙テーマで合意して、それを軸に戦うという。そして、左派側では、「もし」勝った場合に、誰が首相になるかでもまだ合意は(当然)ない。
与党は、早速の世論調査でも、まず勝つことは不可能という予想で、マクロン大統領が記者会見で発言したように、左右の極端にぶれることを好まない国民に賭けているという感じだろうか。
そこで、この週末、発言が大きく取り上げられたのが、フランスのナショナルチームのキャプテン、キリアン・ムバペ。フランスのサッカー選手、とくにナショナルチームでは、政治的発言をしないことが慣例になっているが、それでも、「特に若い世代に投票に行って欲しい」「7月7日(議会選挙の決選投票日)以降も、誇りをもってフランスのナショナルチームのユニフォームを着ていたい」と発言。特定の政党名は挙げないものの、「極端なものが権力をにぎらないように」投票にいってほしいと発言した。
他のスポーツ選手からも同様の発言が出てきているし、もちろん、音楽や映画業界でも同様だ。ただし、サッカーのナショナルチームのように、国を背負っている場合、自主規制されている「政治的発言」というのは特定の政党を支持したり、非難するというもので、今回のムバペ選手のように、直接には名指ししていなかったり、人種差別など普遍的なメッセージの場合はそこまで「政治的」とはされない。
こうした話題が日本でも報じられると、あたかも海外のスポーツ選手や俳優などは政治的だとか、意識が高いとかいわれるが、この週末にパリでデモに参加した一般の老若男女のように、フランスではそんなに特別な事ではない。そもそも、日本の場合、政治家ですら、国会でも、メディアでも骨のある政治的な発言を公の場ですることはほとんどなかったり、さらに言えば、テレビでも新聞でも、メディアの側がそうした場を用意していないこと、さらに言えば、一般市民もそれを求めていないし、一般市民もそのような政治的な考え方をすること、表現することは学んでいないともいえる。
フランスでは、6月は年度末で、テレビ番組も最終回や特集などがあり盛り上がる時期だが、政治討論の生放送が平気でプライムタイムで数時間あってもかなりの視聴率がとれたり、明日はじまるバカロレアの哲学の試験でも、政治的な状況を踏まえての回答も大いにありうる。
意識が高いのはスポーツ選手だけではない。
投稿日時 : 2024/06/17 17:30
サプライズで決まったフランス国会議員選挙。日曜日に出馬の締め切りがあり、いよいよあと二週間の選挙選が本格的に始まった。
この間。
一次は幹部から除名されていた伝統的右派政党のシオティ氏は、裁判所の判断で、除名は無効とされ、党首のまま。そしてポスターなどに党名やロゴが使えるのは、極右政党RNと選挙協力するという候補のみに。とまだまだゴタゴタが続いている。
その極右政党だが、政策論争は三点のみに絞り、ヨーロッパ議員選挙の際に党首のバルデラ氏が「約束」していたはずの「公約」はスルーし、購買力と治安、そして極右政党の十八番の移民問題で、指示を得るという戦法。特に、年金問題に関してはあまり触れない方針のようだとされ、とくに経済政策についてはかなり弱いとされている。
一方、左派連合、「新人民戦線」と名付け、こちらは「反極右」をスローガンに週末にデモを開き、指示を訴えたり、元大統領のオランド氏も地元で再出馬を決めるなどしている。すでに4つのメインの左派系政党では8つの大きな選挙テーマで合意して、それを軸に戦うという。そして、左派側では、「もし」勝った場合に、誰が首相になるかでもまだ合意は(当然)ない。
与党は、早速の世論調査でも、まず勝つことは不可能という予想で、マクロン大統領が記者会見で発言したように、左右の極端にぶれることを好まない国民に賭けているという感じだろうか。
そこで、この週末、発言が大きく取り上げられたのが、フランスのナショナルチームのキャプテン、キリアン・ムバペ。フランスのサッカー選手、とくにナショナルチームでは、政治的発言をしないことが慣例になっているが、それでも、「特に若い世代に投票に行って欲しい」「7月7日(議会選挙の決選投票日)以降も、誇りをもってフランスのナショナルチームのユニフォームを着ていたい」と発言。特定の政党名は挙げないものの、「極端なものが権力をにぎらないように」投票にいってほしいと発言した。
他のスポーツ選手からも同様の発言が出てきているし、もちろん、音楽や映画業界でも同様だ。ただし、サッカーのナショナルチームのように、国を背負っている場合、自主規制されている「政治的発言」というのは特定の政党を支持したり、非難するというもので、今回のムバペ選手のように、直接には名指ししていなかったり、人種差別など普遍的なメッセージの場合はそこまで「政治的」とはされない。
こうした話題が日本でも報じられると、あたかも海外のスポーツ選手や俳優などは政治的だとか、意識が高いとかいわれるが、この週末にパリでデモに参加した一般の老若男女のように、フランスではそんなに特別な事ではない。そもそも、日本の場合、政治家ですら、国会でも、メディアでも骨のある政治的な発言を公の場ですることはほとんどなかったり、さらに言えば、テレビでも新聞でも、メディアの側がそうした場を用意していないこと、さらに言えば、一般市民もそれを求めていないし、一般市民もそのような政治的な考え方をすること、表現することは学んでいないともいえる。
フランスでは、6月は年度末で、テレビ番組も最終回や特集などがあり盛り上がる時期だが、政治討論の生放送が平気でプライムタイムで数時間あってもかなりの視聴率がとれたり、明日はじまるバカロレアの哲学の試験でも、政治的な状況を踏まえての回答も大いにありうる。