新法案が公布されてもまだ反対運動は続く。

投稿日時 : 2023/04/17 17:30

「ニュースチェック:間違い。マクロンが年金法案を公布したのは夜中ではない。」
Libération紙のウェブサイトより。

先週末、憲法院が年金制度改革法案の合憲性を判断した結果が発表され、合憲となった。労働組合連合などは、すぐに反対運動などを繰り広げ、象徴的にパリのLVMHの本社が襲撃されるなどの出来事もあったが、日本政府がよく使う表現を借りれば、「粛々と」大統領や政府は進め、マクロン大統領はすぐに法案の公布を認める大統領署名をして、9月から新法案が施行されることになった。

もちろん、フランスのメデイアはこの話題を大きくとりあげている。LVMH本社が襲撃される映像や、憲法院の前に並ぶ多くの機動隊の映像など。そして、様々なニュースのタイトルなのでは、「マクロン大統領は、憲法院がゴーサインを出すやいなや、すぐに夜中に公布した」などと、マクロン大統領が(またもや)耳を貸さずに(「粛々と」)、「王様」のように、「勝手に」進めた、というようなニュアンスで大きく報じた。その間に、野党などが求めていた国民投票(Référendum d’Initiative citoyenne:市民のイニシアチブによる国民投票)も認めないとしており、大統領も政府も国民から孤立したかたちで、進めるかたちになった。

ただし、リベラシオン紙のファクトチェック記事が指摘するように、正確には、官報による「公布の発表」が夜中になったということで、マクロン大統領が署名したことで、公的に「公布」されたのは、金曜日に憲法院がゴーサインを出した夕方のあと、金曜日の夜19-20時だという。官報の公布発表が夜中になる(関係者へはメールなどで通知)ことはいつものこと(通常は午前2-7時の間)だという。

ただ、憲法院の発表から2時間近くの大統領署名も、早すぎるといえば早すぎるともいえるという。憲法的には、大統領は署名するまでに15日間の猶予がある。それでも通常は憲法院の判断のあと24時間以内には大統領は署名していたという。

それでも、タイミング的には、実際にどのくらいの国民が反対しているかはともかく、これだけ反対運動が続いているなかで、大統領と政府のやりかたはあまりよくないというのが大方の見方にみえる。

そして本日夜、大統領は夜のテレビニュースで演説を行うことになっている。そして組合側も反対運動をさらに続けるといい、次は5月1日のメーデーの日に大規模な全国デモなどが予定されているが、それまでも様々な場所や業種でデモやストライキがある。

夏まではまだまだ長そうだ。