フランスは全国共通のオンラインシステムでワクチン接種予約(半年以上前から)

投稿日時 : 2021/07/13 17:30

「大統領演説:エマニュエル・マクロンはフランスにワクチン接種させたい…。なにがなんでも」
Le Parisien紙のサイトより。

7月に入ってからデルタ株による感染数の増加が目に見えて増え(ここまでは日本も同じ)、数日前からは保健省の大臣がさかんに、脅威を訴えていた。

昨晩、テレビ演説を行ったマクロン大統領は新たなフランスの方針を発表した。日本に比べれば、状況の変化に迅速に、かつ現実的に、そして明確な目標を設定して動くのはフランスではいつものことのようだ。

今回の大きな方針は:
・医療従事者だけではなく、老人ホームで働く人たちや、障がい者などの身体的弱者のサポートをする人びとはワクチン接種を義務化。9月15日までに2回のワクチン接種を終えていないと、働き続けることは出来ず、給料もでない。

・すでに導入されているパス・サニテールこと、衛生パスの適用範囲を拡大。現在はヨーロッパ諸国間の移動や、1000人以上が集まるコンサートやディスコなどで「のみ」必要だったが、これが7月21日から、そして12歳以上の全ての人は、衛生パスで、ワクチン接種を完全に終えていること(ものによっては1回でよいものもあり、3回必要なものもある)、または、48時間以内のPCR検査で陰性であったことの証明が、娯楽施設や文化施設で必要になる。つまり、映画館や劇場や美術館だ。さらには、8月以降はレストランやカフェなど、そして国内の鉄道などでも必要になる予定だという。

・これまで無料だったPCR検査も、この秋からは有料になることも発表。これは、映画に行きたいからとPCR検査を受けることは許されず、個人の楽しみのために国費で検査は受けてはいけないという方針だ。

これらの方針は、スピードが落ちてきたワクチン接種を進め、集団免疫をつけるという目標のためで、一気にワクチン接種を進めようということだ。

この大統領の発表の後、全国共通の接種予約ウェブサイトは、アクセスが殺到し、一時的にサーバーがダウンするほどだったという。そして一晩で60万の新規予約が入ったという。

ところで、日本ではいまだ「ワクチンパスポート」と訳しているケースもあるが、フランス語でそのまま訳すと「衛生パス」となる。ワクチン接種だけではなく、PCR検査も管理し、スマホアプリの場合は、クラスター発生や濃厚接触の場合はトラッキングの役割も果たすというグローバルなものだ。

Le Parisien紙の記事のタイトルにある「Quoi qu’il en coûte」(何が何でも)とは、マクロン大統領が最初のコンフィヌモン(自宅隔離。ロックダウン)の時に使った表現で、当時、Covid-19に対しての宣戦といわれた演説で、強い決意を表していた言葉だった。今回の一連の発表も同じように、ワクチン接種を進めるという強い決意が見られた。