ああ言えばこう言う

投稿日時 : 2022/06/23 17:30

「マクロンの“新たな妥協”への呼びかけに対して、野党は反応」
経済紙Les Echosのウェブサイトより。

昨日までに、議会選挙できまった野党政党の代表たちとの話し合いを終えたマクロン大統領は、テレビ演説を行った。

コロナ禍ではわりと長めのテレビ演説をしていたが、今回はわずか8分。もちろんメディアや野党はすぐに反応しており、具体的ではないとか、責任転嫁だとか、批判が相次いでいる。

与党勢力が絶対的過半数を維持できなくなったことで、大統領がのぞむあらゆる法案を通すには、他の会派の協力が必要となる。ほぼ全ての野党が基本的にはアンチ・大統領の立場であることから、大統領は、これからのスムーズな議会運営には、与党ではなく、野党が責任感をもって協力するところは協力すべきだというような、悪く言えば、またもや「上から目線」での協力を訴えた。経済や環境、医療などの山積みされている問題を解決するための法案を通すことになるが、野党が反対しているだけでは、国民の生活はよくならない、という考え方だ。

そして、協力する姿勢の党には内閣にも入ってもらうという根回しも当然されているという。例えば、環境担当大臣にはエコロジー・緑の党から選ぶのか、保険担当大臣はどうするのかなど。日本で言う「是々非々」、「落としどころ」の政権運営になりそうに見えるが、フランスの場合、激しい討論(や罵り合い)があっての「落としどころ」になるのは必死で、すでに日曜の開票速報の夜のテレビ番組でも早速、野党の政治家たちと与党の政治家たちの間だけではなく、野党同士でも激しい言い合いがすでに繰り広げられている。

現在はまだマクロン大統領も、一度は辞任をしたいといったが大統領に拒否されたボルヌ首相も、今後取り組む具体的な法案や計画を発表していないが、経済対策や環境対策で何かをやろうとしたらたちまち大きな騒ぎになるだろう。

国民の半数近くが投票しなかったにせよ、与党が過半数をとれず、野党が連立している状況は、ある意味、フランス国民の状況を反映しており、法案がすんなり通ることはないかも知れないが、議会はまさに全ての国民の代表たち同士が議論する場になるようだ。そして投票しなかった国民の分は、街でのデモやストで表現されるだろう。

プレゼンもうまく、コミュニケーション能力も高く、戦略家のマクロン氏だが、それだけでは二期目の5年はうまくいかなさそうな始まりだ。