オモテナシがなくなった五輪

投稿日時 : 2021/06/10 17:30

「東京五輪:外国人ジャーナリストのトラッキングについて、後ずさり」
Libération紙のサイトより。

海外メディアをGPSで行動管理するという発表はもちろん世界中を駆け巡り、フランスでも五輪関係ではほぼこの話題だけが取り上げられている。

日本のメディアではこの一つの大きなポイントのみが取り上げられ、具体的な詳細については掘り下げていられないが、Libération紙などでは独自取材も含め、実際の状況を解説している。

この記事の幾つかの要点を:
・GPSでの行動管理は、先に発表されている五輪担当大臣とデジタル担当大臣の発言と矛盾している。首相も、この矛盾は把握していないと語ったという。
・ただし、五輪で来日する選手を含む関係者は、グーグルの位置情報機能を有効化しなければならないという。これはGPS情報とは一致するというわけではなく、複数のスマートフォンを持っている場合意味がないと指摘。
・リベラシオン紙の取材に、組織委員会は、すべての関係者をチェックするわけではなく、「問題があった場合」のみ確認するという。だが、どういうことが「問題」とするかの回答は得られなかった。
・匿名で答えた関係者は、顔認識システムも導入されるという。また、通報などがあれば、この監視カメラからの情報などを使って、問題を起こした人物を特定するという。
・ここで問題が、日本在住の外国人で、大会期間中、東京のレストランにいる在日外国人や、普通に公共交通機関にのっているだけの在日外国人が、日本人から「通報」されるという危険があるという。

この記事は次のように終わっている:
Ce seront donc des JO sans omotenashi, slogan symbole de l’hospitalité japonaise vantée dans le dossier de candidature de Tokyo.
つまり、オモテナシがない五輪になるということだ。トーキョーの立候補の際に日本のお持てなし精神の象徴として使われたスローガンがないのだ。