海外テレビドラマ並みの2024フランス国会議員選挙

投稿日時 : 2024/06/13 17:30

「国会議員選挙:ヨーロッパ議員選挙の結果を考慮すると、マクロン派と共和党は絶滅の危機」
Le Figaro紙のウェブサイトより。

・マクロン大統領の記者会見:特にサプライズ発言もなく、選挙の論点も提案せず。左右の過激派(極左(とそれを取り込んだ左派連合)と極右)を牽制する。

・第二次大戦後のドゴール将軍以来の伝統的右派政党の党首、シオティ氏は極右政党RNとの選挙協力を公言したが、他の幹部が集まり、逆に党首のシオティ氏を除名すると発表。シオティ氏は、党員に決めてもらうと発言。内部分裂に。

・左派連合では、いまのところ連帯をたもっているものの、極左政党LFIのメランション氏は、左派が勝てば、首相になってもよいとか、「炎上」する恐れもあるような発言を始めている。また、ヨーロッパ議員選挙の分析では、以前に社会党などの左派系統に投票していた労働者層や若者層も、与党への対抗勢力としての極右政党、そしてフランス政治で初めてTikTokを使いこなした極右政党RN党首バルデラ氏を多く支持しているという結果も出ている。パリの知識階級や中・上流階級だけの支持だけでは次の選挙には勝てず、ヨーロッパ議員選挙に投票に行かなかった人たちの取り込みも課題とされている。

・そして、極右政党RNだが、他の政党との選挙協力がまだまだ流動的だ。シオティ氏とその仲間たちがどうなるのかもあるが、極右政党RNの家族でもあったが、前党首ジャンマリ・ルペン氏の姪で、第二の極右政党のマリオン・マレシャルは選挙後、すぐにRNと接触を図っており、公言もしていたが、党首のエリック・ゼムール氏からは「裏切り者」とされ、第二の極右政党も分裂し、一部がRNに合流するとされている。

大きくは三つ巴ではあるが、三つの勢力での駆け引きが激しい。

今回の国会議員選挙への立候補締め切りは、今週の日曜日までで、それまでまだまだいろいろなことがあるだろう。そして候補者が決まれば、そこから政策の議論になり、それぞれのメディア戦略などが繰り広げられる。

この三つ巴の意味が大きいのは、フランスの選挙システムがあるからで、一回の投票で決まるのではなく、1回目の投票で過半数をとらなければ、2回目の投票があり、2回目の投票では一定割合の得票を得た候補がすべて2回目の決選投票に進む。つまり、ある選挙区で、極右政党RNがトップであっても、一回で決まらなければ、2回目の決選投票があり、「反RN党」で他の政党が協力すれば(どちらかが棄権)、RN党に勝つということになる。

大統領選挙をふくめ、これまでのフランスの国内選挙はこの二度投票のシステムを使って、極右政党の勢力が最終的にはおさえられてきたが、今回はさすがに、極右政党の首相もありうるという雰囲気もある。