あと4日。Zapping。
投稿日時 : 2024/07/03 17:30
フランスの国会議員選挙の決選投票の候補者は、昨夕確定した。
300近い決選投票で、200近くの選挙区で3位に付けた候補が出馬を取り下げ、一対一の対決となった。
ほとんどは極右政党RNとの対立で、左派連合だったり大統領与党だったり。
これで、日曜日の決選投票の結果もある程度予想しやすくはなったものの、数百の小選挙区のすべてで、地元市民の傾向などを調査して、分析するのには時間がかかり、予測がされるのは金曜日だという。
もはやパリ五輪はほぼ話題にはならず、おそらくは戦後初めて、あるいはフランスの歴史にも残るような大きな変化が起きるともされている日曜日の決選投票で、ほぼこの話題ばかり。週末に始まったツールドフランスも、トーナメントが進むサッカーの欧州カップすら影に隠れている。
どのようなニュースがあるか、簡単にZapping形式で。
・本日、BFMTVで予定されていたのが、総選挙の三回目の討論会だったが、極右政党RN党首のバルデラ氏は、左派連合で予定されていたエコロジー党首のマリーヌ・トンドゥリエ氏との討論を拒否し、極左政党のメランション氏をもとめていたが、トンドゥリエ氏や左派連合はもともと、左派連合からは順番に討論会に出ることを決めていたとし、実現されなかった。結局、三人が個別でインタビューに応じる形で放映されることになった。
・このエコロジー政党のマリーヌ・トンドゥリエ氏は、この総選挙で、頭角をあらわしてきた人物で、先日のテレビ出演でも、エコロジーの問題だけではなく、女性の問題も今回の選挙戦でまったく触れられていないと言及、討論会も男性だけなのはおかしいなどと、声を荒げることもなく、落ち着きながらも、信念があり、さらに感情もみせながら訴えた。エコロジー政党らしく、トレードマークは緑のベストで、やはりフランスの政党の党首らしく、弁も立ち、左派連合の中では支持率は大きくないものの、エコロジー政党の顔としてメディアの露出も増えている。
・日曜日以降のシナリオは、大きく三つに絞られている。
1:極右政党RNが絶対的過半数をとってバルデラ氏が首相。バルデラ氏はこれまで「絶対的過半数」といっているものの、場合によっては、すでに選挙協力している伝統的右派のLR党の議員を取り込んだり、あるいは選挙後に合流する可能性がある議員の数もカウントするという話も。また、577議席の国会で、289が絶対的過半数だが、キーとなる数字は260で、それにその他の右派系や中道系議員の数をカウントするという話もある。
2:混合内閣。極右政党RNが何らかの計算で首相を出さない場合、首相の任命権があるマクロン大統領が、絶妙な落としどころの首相を任命し、各大臣を各政党に分けるというかなり難しい組閣。
3:民間などからの政府。首相も含め、大臣たちも、政治家ではない人物から選んでくるというシナリオ。
いずれにせよ、先週末もテニスをしたり、ラフな姿で街に出ていたマクロン大統領だが、結果が決まれば、首相の任命をしなければならず、マクロン大統領の動向にも注目されている。
・ただし、いずれにせよ、次の政府はかなり不安定になることは必死で、何かあれば、大きなデモや社会運動につながる可能性もある。そして、一年間は国会は解散されないが、マクロン大統領が辞任することはないと表明したことからも、1年後に再度の国会解散もありうるといい、これも一つの抑止力のように働くとも言われている。
・経済では、日曜の結果を受けて、フランスの株式市場はプラスに動いた。
・若者たち。とくにパリで集まった若者たちは、1980年代に現在の極右政党RNの前身のFront Nationalの驚異に立ち上がったときのパンク曲から「La Jeunesse emmerde le Front National:若者は国民戦線に糞食らえ」のスローガンを持ち出している。しかし、極右政党RN党首のバルデラ氏も、フランスで最初にTikTokを政治に見事に使った政治家といわれ、実際に、20代の若者は、他の世代よりも多く極右政党RNに投票していたり、TikTokでみて、「イケてる」という理由で投票している若者たちが多いのもまた事実だったりする。
・パリ五輪で、エディット・ピアフの名曲を歌うことになっている歌手、Aya Namamura(マリとフランスの二重国籍の黒人女性。名前のAya Nakamuraは芸名で、日本とは全く関係ない)も、SNSで、直接は表現しないものの、極右政党には投票しないように呼びかけた。彼女はすでに、「黒人女性」がオリンピックで歌うこと、しかも「フランス人」の曲を歌うことで、話題になっていた。
・SNSで、ゴシップ的というよりも、いたずらとして話題になっているのが、バルデラ氏とアタル氏のロマンス。これまでの二人の討論を切り取って、お互いに目配せをしたり、微笑み会っているように編集したり、「フランスの新しいロメオとジュリエット」とか、一部で盛り上がっている。ちなみに、日本ではそこまで知られてはいないが、アタル氏は数年前から同性愛者であることを発言していたり、先日も、「自分も同性愛者差別で苦しんだこともあったし、今も苦しんでいる」と発言していた。
・バルデラ氏についても、様々な報道がされており、大学を中退していること(実質は高卒)、元ロレアルの広報戦略の専門家がコーチについて、すべてが準備されているという報道もあった。
あと4日。Zapping。
投稿日時 : 2024/07/03 17:30
フランスの国会議員選挙の決選投票の候補者は、昨夕確定した。
300近い決選投票で、200近くの選挙区で3位に付けた候補が出馬を取り下げ、一対一の対決となった。
ほとんどは極右政党RNとの対立で、左派連合だったり大統領与党だったり。
これで、日曜日の決選投票の結果もある程度予想しやすくはなったものの、数百の小選挙区のすべてで、地元市民の傾向などを調査して、分析するのには時間がかかり、予測がされるのは金曜日だという。
もはやパリ五輪はほぼ話題にはならず、おそらくは戦後初めて、あるいはフランスの歴史にも残るような大きな変化が起きるともされている日曜日の決選投票で、ほぼこの話題ばかり。週末に始まったツールドフランスも、トーナメントが進むサッカーの欧州カップすら影に隠れている。
どのようなニュースがあるか、簡単にZapping形式で。
・本日、BFMTVで予定されていたのが、総選挙の三回目の討論会だったが、極右政党RN党首のバルデラ氏は、左派連合で予定されていたエコロジー党首のマリーヌ・トンドゥリエ氏との討論を拒否し、極左政党のメランション氏をもとめていたが、トンドゥリエ氏や左派連合はもともと、左派連合からは順番に討論会に出ることを決めていたとし、実現されなかった。結局、三人が個別でインタビューに応じる形で放映されることになった。
・このエコロジー政党のマリーヌ・トンドゥリエ氏は、この総選挙で、頭角をあらわしてきた人物で、先日のテレビ出演でも、エコロジーの問題だけではなく、女性の問題も今回の選挙戦でまったく触れられていないと言及、討論会も男性だけなのはおかしいなどと、声を荒げることもなく、落ち着きながらも、信念があり、さらに感情もみせながら訴えた。エコロジー政党らしく、トレードマークは緑のベストで、やはりフランスの政党の党首らしく、弁も立ち、左派連合の中では支持率は大きくないものの、エコロジー政党の顔としてメディアの露出も増えている。
・日曜日以降のシナリオは、大きく三つに絞られている。
1:極右政党RNが絶対的過半数をとってバルデラ氏が首相。バルデラ氏はこれまで「絶対的過半数」といっているものの、場合によっては、すでに選挙協力している伝統的右派のLR党の議員を取り込んだり、あるいは選挙後に合流する可能性がある議員の数もカウントするという話も。また、577議席の国会で、289が絶対的過半数だが、キーとなる数字は260で、それにその他の右派系や中道系議員の数をカウントするという話もある。
2:混合内閣。極右政党RNが何らかの計算で首相を出さない場合、首相の任命権があるマクロン大統領が、絶妙な落としどころの首相を任命し、各大臣を各政党に分けるというかなり難しい組閣。
3:民間などからの政府。首相も含め、大臣たちも、政治家ではない人物から選んでくるというシナリオ。
いずれにせよ、先週末もテニスをしたり、ラフな姿で街に出ていたマクロン大統領だが、結果が決まれば、首相の任命をしなければならず、マクロン大統領の動向にも注目されている。
・ただし、いずれにせよ、次の政府はかなり不安定になることは必死で、何かあれば、大きなデモや社会運動につながる可能性もある。そして、一年間は国会は解散されないが、マクロン大統領が辞任することはないと表明したことからも、1年後に再度の国会解散もありうるといい、これも一つの抑止力のように働くとも言われている。
・経済では、日曜の結果を受けて、フランスの株式市場はプラスに動いた。
・若者たち。とくにパリで集まった若者たちは、1980年代に現在の極右政党RNの前身のFront Nationalの驚異に立ち上がったときのパンク曲から「La Jeunesse emmerde le Front National:若者は国民戦線に糞食らえ」のスローガンを持ち出している。しかし、極右政党RN党首のバルデラ氏も、フランスで最初にTikTokを政治に見事に使った政治家といわれ、実際に、20代の若者は、他の世代よりも多く極右政党RNに投票していたり、TikTokでみて、「イケてる」という理由で投票している若者たちが多いのもまた事実だったりする。
・パリ五輪で、エディット・ピアフの名曲を歌うことになっている歌手、Aya Namamura(マリとフランスの二重国籍の黒人女性。名前のAya Nakamuraは芸名で、日本とは全く関係ない)も、SNSで、直接は表現しないものの、極右政党には投票しないように呼びかけた。彼女はすでに、「黒人女性」がオリンピックで歌うこと、しかも「フランス人」の曲を歌うことで、話題になっていた。
・SNSで、ゴシップ的というよりも、いたずらとして話題になっているのが、バルデラ氏とアタル氏のロマンス。これまでの二人の討論を切り取って、お互いに目配せをしたり、微笑み会っているように編集したり、「フランスの新しいロメオとジュリエット」とか、一部で盛り上がっている。ちなみに、日本ではそこまで知られてはいないが、アタル氏は数年前から同性愛者であることを発言していたり、先日も、「自分も同性愛者差別で苦しんだこともあったし、今も苦しんでいる」と発言していた。
・バルデラ氏についても、様々な報道がされており、大学を中退していること(実質は高卒)、元ロレアルの広報戦略の専門家がコーチについて、すべてが準備されているという報道もあった。