あと12日:「不服従」とは

投稿日時 : 2022/04/12 17:30

「分析:大統領選挙第二回投票。国民連合は「不服従のフランス」党支持者にへつらう」
Libération紙のウェブサイトより。

前回、2017年の決選投票と同じ顔ぶれになった2022年のフランスの大統領選挙第二回投票。ただし、フランスのメディアなのでは、状況は全く違うという認識が多い。

マクロン現大統領は、前回は初立候補だったが、今回は5年の任期の後の再選を目指している。コロナ禍やウクライナ情勢もある。さらに、第一回投票では、極左政党「不服従のフランス」の党首、メランション氏が得票率20%を超え、左派系として支持を拡大させ、中道のマクロン現大統領、極右のマリーヌ・ルペン、極左のメランションという三つ巴での新しいフランスの政治状況が垣間見られる結果となった。

新しい一人の大統領を選ぶという特殊な選挙で、議員選挙などとは違うものの、現在のフランスの傾向と言えるだろう。

前回までは極右政党から大統領が選ばれることはほぼ考えられなかったが、数年前のアメリカのように、フランスでもありえない話ではなくなってきている。マクロン現大統領も月曜日から早速地方への行脚を始め、これまでこだわっていた65歳からの定年制という改革についても、態度を軟化させ始めて、支持を得ようとしている。

ルペン氏も、「反マクロン」の勢力を取り込もうと、メランション氏の支持者にむけた発言などを強め、極右系の得意の「移民問題」などの話をしないこともあるという。

そこで、それなりの影響をもつメランション氏は、「ルペンには一票たりともあたえてはいけない」と何度も発言している。が、得票率5%以下で破れた伝統的右派のヴァレリー・ペクレス氏や社会党のアンヌ・イダルゴ氏のように、はっきりと「マクロンに投票しましょう」とマクロン現大統領を名指しで明言したわけではない。

日本の一部のメディアでは、これをマクロン支持と解説しているものものもあるが、一部のメランション氏の支持者にとっては、「白票を投じよう」という呼びかけと理解するものもいる。「不服従」ならではの見解といえる。さらに。マクロン現大統領が、次期政権の首相にメランション氏を選ぶなら、マクロン氏に投票してもよいという支持者もいるという。

メランション氏については、他の左派系の候補者、特に共産党の候補者が最初から候補を取り下げてメランション氏の支持に回っていたら、決選投票に進めた可能性があったという話題もあるが、メランション氏は今回が大統領選挙への立候補は最後のような発言もしており、今後の「不服従のフランス」党の動向も注目されている。

2002年に始めて極右政党が大統領選の決選投票に進んだときや2017年でも、「極右を止めよう」というスローガンで支持を集めることは難しいのが今回の大統領選挙だといわれる。

日本では投票日の前日まで、選挙カーが町中をまわったりしているが、フランスでは選挙の投票日の前日(たいていは土曜日)は、国民が冷静に考えられるように、メディアでも一切の選挙活動はできない。24日の投票日まであと10日あまり、まだまだいろいろなことがありそうだ。