マクロン大統領の理屈。

投稿日時 : 2024/07/24 17:30

昨晩国営放送France 2のニュース内、20時10分からのライブインタビューから。

パリ五輪開催直前で、やはりわちゃわちゃしてきたフランス。

日中には、開会式の予行練習の際に、ダンサーたちが、ストライキを決行し、労働条件(賃金)の改善を求めて、練習を拒否した。交渉は続けられていると言うが、ダンサー組合は、場合によっては当日のストライキも辞さないという。そしれ連日フランスのメディアが取り上げているのが、会場地区やバリケードで景観が台無しになって客が激減しているレストランやカフェ経営者のコメント。そして、選手村も含め、パリでは毎日平均6機のドローンが取締の対象になっているという話題も。

そして昨晩のマクロン大統領のインタビューだが、直前に左派連合NFPは、新たに民間からの候補者を提案した。が、インタビューで大統領は、一蹴。大統領の言い分だと、そもそも、選び方が違う、ということらしい。

総選挙後の初めてのインタビューということで、ジャーナリストも総選挙の話題から質問をし、もちろん、オリンピックの話題も(France 2は、オリンピックだけではなく、史上初めてパラリンピックの競技も全て放映する)あったが、現在の政治状況について質問をした。

これまでの新聞の紙面や、テレビなどでの解説やコメントも、そもそも大統領には批判的なものが多かったり、左派連合に肩入れしているともとられる取り上げ方が多かったが、大統領には自分の理屈・信念があり、それをプレゼンした形で、新首相については、8月中旬には、という具体的(?)な日程を提示したものの、これまでの態度・発言から変わったことはないようだ。

マクロン大統領の言い分:
・国会の解散は、そもそも、何度もこれまでの政府が法律を盾に強行採択することが多かったように、与党の法案や予算が通らなくなっており、来年度の予算審議がはじまる秋には、内閣不信任決議案が採択される危険があり、秋に内閣総辞職で国会解散では、予算審議のスケジュールが遅れることになるので、ギリギリのタイミングで、オリンピック前に、国民の真意をはかり、国民の意見が反映された国会にするという決断をしたという。
・二回の投票の結果については、投票率の高さから、フランス国民がはっきりと意思表示をしたと理解、極右政党RNの内閣は求めないことは明らかになった。
・ただし、絶対的過半数はどこもとっておらず、国会の勢力分布をみても、与党も「負けた」(と認めた)が、(やはり)誰も勝ってはいない。(この理解が、「自分たちは勝った」という左派連合とそもそも異なる)
・国民が求めて、反映された議会の状態をみると、各議員・政治家が「責任感」(国民からの支持)をもって、「妥協」して、大連合を立てることが当然だという。ただし、最初から大統領がいっているように、他者を受け入れない極右や極左(極左の議員は、極右議員と握手することを拒否)は除いた政党やグループが、「妥協」して大連合を作ることが正しいという。

なので、そもそも絶対的過半数でもなければ、他の政党との協力・妥協もない左派連合からの提案は受け入れないという立場で、先日の国会議長の選出に左派連合の候補が選ばれなかったのも、まさにこの状況を証明しているという。

弁がたつマクロン大統領らしく、論理的に言っていることに間違いはないように聞こえる。

ちなみに、昨日ギリギリのタイミングで、NFPが提案した民間の候補は、リュシー・カステという36歳の女性だった。これまでの候補も全て女性で、左派連合としては女性を提案する方向のようだが、そもそも、どうもマクロン大統領は左派連合(だけから)の候補者は選ばないようなので、左派連合も今後の戦略の練り直しが必要とされる。

マクロン大統領が望むように、極左政党LFIと極右政党RNを除いた政党で「大連立」が出来る可能性はひくいと見られるが、オリンピック期間が終わるときにどうなっているか。

もちろん、このインタビュー後には、左派連合などからは、またも傲慢な態度で、高みからの発言、状況を理解していないなどと、こちらもこれまでと同じような批判が繰り返されている。

まさに、フランス語でいう「つんぼ同士の会話」になっているようにみえる。