定番の課題に、最新の考え方

投稿日時 : 2019/09/19 18:30

ニュース専門チャンネルLCIのサイトより。
「国会での移民問題についての議論:各政党が取り上げるテーマとは?」

フランスでは、80年代後半から特に(もちろん第二次世界大戦後、あるいはそれ以前からもそうだが、現在のような形になってから)、フランス社会の大きな問題が移民問題だ。昨日のブログでは、環境問題も大きな関心事になっていることを紹介したが、環境問題については、政党が違っても基本的なところでは共通の目標はあまり変わらないが、移民問題については政党間(ましては各市民の間でも)で、基本的な考え方や優先事項が大きく異なる。

バカンス前の「Grand débat national(国民大討論)」の総括の中で、国会で年に一度は移民問題をとりあげることにしたいとの、マクロン大統領の発言をうけ、9月30日に国会、10月2日には上院(Sénat)で討論がおこなわれる。

それに先だって、月曜日にマクロン大統領は、移民問題についての考えを述べたが、それが反響をよび、各政党の代表はもちろん、メディアでも移民問題が取り上げられ始めている。

大統領の発言で特に取り上げられているのが、より厳しくするといった難民受け入れ政策。これまでの左派は、問題を直視せず、怠慢であったといい、厳しくはするが人道的であるという方針は変えないといっている。もちろん、こうした問題の取り上げ方自体、その厳格化するという方針自体も、これからの選挙対策で、保守派、さらには極右政党支持層へのアピールだという批判もある。

もちろん、極右政党から左派政党まで、それぞれが反応し、それぞれの考え方を訴えている。そのなかで、緑の党もまたこの移民問題についての考え方を示している。

左派系は、移民(immigration)ではなく、同化・統合(intégration)が問題であると、問題の提起の仕方自体から提案している。移民(immigration)は、「外(フランスの)から入ってくる」というニュアンスだが、同化・統合(intégration)は、「フランスに溶け込む」というニュアンスになる。

緑の党もこの考え方の延長線上で、緑の党らしいのは、概念的ではなく、ローカルでの成功事例や現実をモデルとして、国レベル、さらにはヨーロッパレベル(そして地球レベル)での解決策を探るという考え方だ。

それぞれの政党は、さらに具体的な政策や法案などを提案しているが、何か具体的な法案につながるかは不透明だし、今後の選挙への影響も世論の反応次第と言ったところだろうか。