ポストコロナの観光の可能性

投稿日時 : 2021/03/08 18:00

「危機にも負けない独立系ホテル業」
3月7日付けLe Monde紙の紙面より。

東京などで緊急事態宣言が延長され、日本ならではのGoToキャンペーンの再開も不透明なままだが、フランスも外食産業の再開の見通しはたたないまま、外出制限も続いている。

Le Monde紙では、地方のホテル業の状況を取材した。それによると、大手ホテルチェーンなどの状況は厳しいものの、地方の家族経営のホテルなどでは、臨時失業制度など、政府からの支援を使ったり、臨機応変に地元住民へのテイクアウトサービスなどの新規業務を始めるなど、大手よりもフットワークを軽く対応し、ダメージを減らしているという。

そこでキーワードとなっているのが、「よりローカルで、より本物で、より人間的な」サービスや設備を提供できるという強みだという。これはすでにCovid-19以前からフランスの観光業界(観光以外でもそうだが)の傾向であり、フランスや欧州などのエコロジーの考え方とも交わる。これで強いのが、地方の独立系、家族経営、地元密着のホテル業だという。2020年、独立系ホテル組合によると、同組合の年商はマイナス34%程度にとどまったが、フランスの大手ホテルチェーン、アコールの場合は、一部屋あたりの利益がマイナス57%だったという。

そして、日本と同じく、国内観光に頼るしかないフランスのホテル業だが、もちろん、海外からの観光客は皆無で、国内からの観光もほとんどないが、ビジネスでの人の移動があり、そうした人たちがこれまで利用していた大手ホテルチェーンを避けたり、大手ホテルがその規模ゆえに閉鎖するなどして、小さな宿泊施設が人を集めているという。

ただし、現在は政府からの支援があるなど、まだ特殊な状況で、問題はコロナ禍が終わったあとに、どうなるかはまた別の問題だという。さらに地価が高く、海外からの観光客の割合が多いパリはまた別の問題があるという。客室数で言うと48%が独立系宿泊施設だという。