フランスはいつもどおりのバカンス前のストライキ

投稿日時 : 2022/06/27 17:30

「“もうこんなの続けられない”:賃上げを要求して、この月曜日は運送業者のスト」
Le Parisien紙のウェブサイトより。

フランスではパンデミックの感染状況が再び悪化し始めている。それはもちろん、マスクの着用義務をはじめ、感染対策が実質的に完全解除されており、ワクチン接種もキャンペーンなどが聞かなくなっていたり、新しい変異種が出てきたりと様々な要因がある。

が、医療体制や高齢者などにはまだそれほど危険な状態ではないことなどから、政府も国民もよくも悪くも「ウィズコロナ」を続けているようにみえる。

そして、着々と、粛々と進むバカンスへの準備。議会選挙も終わったこともあり、フランス恒例のバカンス前のストライキも始まっている。夏のバカンス前と、クリスマス前にはほぼ確実に、何らかの業種がストライキやデモをするのがフランスだ。

すでに先週は、ヨーロッパ規模で航空業界でストライキが起こっていたが、本日は、フランスの運送業界で、実に79万近くの関連企業の従業員にストライキへの呼びかけが様々な労働組合からある。トラック運転手だけではなく、長距離バスや引越業者やアマゾンなどの配送業者まで、多くの業種が含まれる。

燃料費の高騰、労働環境の悪化、賃金の値上げがないこと(実質賃金は、最低賃金を下回るという)など、政権が変わり、ボルヌ内閣がこれから調整されること、バカンス前ということで、要求を認められるタイミングでのストライキだ。

これに対して、経営側がどう答えるか、そしていまだ新しい運輸担当が決まっていない政府がどう反応するのか。そして、労働組合側も、新政権になり、さらにコロナ禍から脱してからのストライキがどのようになるのかを試しているようにも見える。

運送業のストライキというだけではなく、夏のバカンスが終わった後の新年度のフランスの社会運動がどうなるかも見えてくる試金石かもしれない。