ゾンビ内閣と八方塞がり
投稿日時 : 2024/07/17 17:30
昨日、閣僚会議が開催され、マクロン大統領はアタル首相の辞任を認めた。しかし。
現内閣は、「進行中の事案の処理」のために残ることになった。これは次の首相・内閣が決まるまで、ということだが、次の首相については、大統領は、議会がまとまって提案するようにという、自分は高みの見物のような発言にとどまっており、来週に迫ったオリンピックが終わってからというニュアンスもあるという。
メディアなどでは、やめると決まって、いわば「死んだ」首相と内閣で、もう「殺すこと」ができない、「ゾンビ内閣」だという表現も。
そして新首相については、まったくの八方塞がり状態で、明日の国会議長の選出のあともそこまで状況は変わらないのではという見方も。
まさに相関図がややこしいNetflixのドラマのような感じだが、現時点のポイントは:
・左派連合では、社会党と極左政党LFIの対立が明らかになっており、お互いが2027年の大統領選挙を見据えての思惑だったり、LFIから抜けた人物とか、LFIでも穏健派とか、社会党でも同様に様々な登場人物が、様々な見解を出している。
・左派連合の統一候補については、どうやって選ぶかも、いつまでに選ぶかについてすら合意は出来ていないばかりか、肝心の政策についても当然、議論が進んでいないという。
・左派連合のなかでも、間を取り持っていたエコロジー政党もどこまでこの状態に付き合えるのか、どこかで妥協案がだせるのか。
・この間、裏で動いているのが、極右政党RNではない右派勢力で、大統領勢力と組んで、さらには一部の社会党議員なども取り込んで、内閣をつくろうという動きもある。
・マクロン大統領は、国会議員の皆で協同して、首相・内閣を提案して欲しい、というが、総選挙の時から言い続けていたように、極右も極左も認めないという。この考え方は大統領勢力はもちろん、右派政党でも共有されており、大統領勢力と右派勢力が組んだ中道の協同内閣が出来る可能性もありうるという。
・7月11日に実施された世論調査では、フランス国民の73%は左派連合の政府は望んでいないという調査もある。
・左派連合にせよ、中道連合にしても、三つ巴状態の国会の状況では、どこの勢力が政権を握るにしても、国会で不信任案が可決されたり、法案が通らないような状況では、どこも政権は取りたくないという状況だ。
・そして、極右政党RNだが、完全にバカンスにはいっているようで、いずれにせよ、野党としてはかなりの数なので、どのような内閣にしても、国会ではかなり大きな野党勢力で、2027年の大統領選挙に向けて、充分に存在感を強める可能性があり、そのような戦略にシフトしているとされる。
・こうした状況で、もし左派連合が首相候補に合意できなかったり、相変わらずの内輪もめが続けば、大統領勢力と右派政党の連立内閣が出来る可能性もあり、実はマクロン大統領が望んでいたような結果になる可能性もある。
ゾンビ内閣と八方塞がり
投稿日時 : 2024/07/17 17:30
昨日、閣僚会議が開催され、マクロン大統領はアタル首相の辞任を認めた。しかし。
現内閣は、「進行中の事案の処理」のために残ることになった。これは次の首相・内閣が決まるまで、ということだが、次の首相については、大統領は、議会がまとまって提案するようにという、自分は高みの見物のような発言にとどまっており、来週に迫ったオリンピックが終わってからというニュアンスもあるという。
メディアなどでは、やめると決まって、いわば「死んだ」首相と内閣で、もう「殺すこと」ができない、「ゾンビ内閣」だという表現も。
そして新首相については、まったくの八方塞がり状態で、明日の国会議長の選出のあともそこまで状況は変わらないのではという見方も。
まさに相関図がややこしいNetflixのドラマのような感じだが、現時点のポイントは:
・左派連合では、社会党と極左政党LFIの対立が明らかになっており、お互いが2027年の大統領選挙を見据えての思惑だったり、LFIから抜けた人物とか、LFIでも穏健派とか、社会党でも同様に様々な登場人物が、様々な見解を出している。
・左派連合の統一候補については、どうやって選ぶかも、いつまでに選ぶかについてすら合意は出来ていないばかりか、肝心の政策についても当然、議論が進んでいないという。
・左派連合のなかでも、間を取り持っていたエコロジー政党もどこまでこの状態に付き合えるのか、どこかで妥協案がだせるのか。
・この間、裏で動いているのが、極右政党RNではない右派勢力で、大統領勢力と組んで、さらには一部の社会党議員なども取り込んで、内閣をつくろうという動きもある。
・マクロン大統領は、国会議員の皆で協同して、首相・内閣を提案して欲しい、というが、総選挙の時から言い続けていたように、極右も極左も認めないという。この考え方は大統領勢力はもちろん、右派政党でも共有されており、大統領勢力と右派勢力が組んだ中道の協同内閣が出来る可能性もありうるという。
・7月11日に実施された世論調査では、フランス国民の73%は左派連合の政府は望んでいないという調査もある。
・左派連合にせよ、中道連合にしても、三つ巴状態の国会の状況では、どこの勢力が政権を握るにしても、国会で不信任案が可決されたり、法案が通らないような状況では、どこも政権は取りたくないという状況だ。
・そして、極右政党RNだが、完全にバカンスにはいっているようで、いずれにせよ、野党としてはかなりの数なので、どのような内閣にしても、国会ではかなり大きな野党勢力で、2027年の大統領選挙に向けて、充分に存在感を強める可能性があり、そのような戦略にシフトしているとされる。
・こうした状況で、もし左派連合が首相候補に合意できなかったり、相変わらずの内輪もめが続けば、大統領勢力と右派政党の連立内閣が出来る可能性もあり、実はマクロン大統領が望んでいたような結果になる可能性もある。