クリスマスシーズンの定番の一つはフォアグラ。

投稿日時 : 2022/12/22 17:30

「動物の幸せ:フォアグラなしのクリスマスは近い?」
20 Minutes紙のウェブサイトより。

フランスのクリスマスシーズンの話題の定番は国鉄のストライキがあるが、最近このタイミングで取り上げられるようになっているのが、「フォアグラ問題」。

昨今の環境意識の高まり、消費社会や健康に対する問題意識の変化で、食料品の生産について、フランス国民の考え方が変わってきている。肉類にかんしては、鶏肉のブロイラーや、肉牛や乳牛でも、飼育環境が、「動物目線」でリスペクトすべきという考え方が大きくなっている。

そこで動物愛護団体などからやり玉に挙がっているのが、フランス人にとって「ザ・フランス料理」の一つであり、クリスマスのごちそうの代表の一つであるフォアグラ。ガチョウやカモをゴム管で無理矢理食べさせて太らせるという、「虐待」「拷問」に近い方法で、人間の食欲のために犠牲にされる。

この流れを受けて、よりストレスがかからない(と人間が判断した)方法でフォアグラを製造するこころみや、もちろん、「ベジタリアン・フォアグラ」も登場。ただし、「フォアグラ」という呼称はそもそも、「gavage:強制栄養」で太らせて作ったものという定義があり、厳密にいえば、「フォアグラ」自体がすでに動物虐待という解釈も成立する。

科学的にも「強制栄養」で動物はストレスがかかり、健康な生活を送ることができていないと証明されてもいるという。ドイツやポーランド、さらにはトルコやインドも、治療目的以外に動物に「強制栄養」をとらせることを禁じている。

ある世論調査によれば、フランス人の6割がフォアグラの禁止に賛成しているという。もちろん、フランスでもフォアグラは高級品で、年に一度この時期だけに食べる人もいるだろうから、合理的でヒューマニストな21世紀のフランス人にはもうフォアグラはいらないのかもしれない。