延長戦が始まったフランスの政界

投稿日時 : 2022/04/25 17:30

「マクロンにとって、極右勢力の歴史的な数字で、華々しくはない勝利の夜。」
Le Monde紙のウェブサイトのトップページより。

昨晩20時の開票速報からマクロン現大統領の再選が決まったが、そこから、テレビはもちろん、全てのメディアはもちろん、SNSでも、投票結果の分析と解説が拡がっている。

2017年はルーブル、2022年はエッフェル塔をバックに勝利のミーティングを開いたマクロン大統領。控えめな発言で、58%の得票率でも、自分が支持されたわけではなく、自分の政策に反対していても極右勢力の台頭を防ぐために票を入れてくれた人もいると認め、その人たちに答えたいとした。

すでに選挙選の後半でも、環境問題や年金問題について、左派系政党などの提案も考慮した発言をしていた。

恐れていた「白票」による異議申し立てはもちろん、「反マクロン」でルペン氏に投票した割合もそれほどではなかったというのが大方の見方だ。再選は果たしたものの、支持率が高いわけではなく、6月の議会選挙で、自らの政策にどのくらいの支持があるかはっきりすることになる。

一方、敗れたルペン氏陣営も、6月の議会選挙を見据えて、今回の選挙についても前向きな発言をしている。想定や世論調査の数字よりも実際の得票率は悪かったが、極右政党として大統領選挙の決選投票で最も高い得票率であったことを強調し、このまま得票率が上がれば、2027年はかなりの望みがあるという解釈だ。ただし、極右政党にしても、投票した人のなかには、政策を支持したわけではなく、「アンチ・マクロン」という理由だけで投票した人もおり、投票結果の分析は客観的にしなければならないようだ。

専門家は、地域別や世代別などでの投票を分析しているが、政界では、6月の議会選挙にむけて、それぞれの政党はどこの政党と協力するのかなど、動きが活発になっている。ものすごく単純化すれば、フランスの政治状況は完全に3つに分かれる。マクロン大統領を中心とする現政権の中道派。そしてルペン氏やゼムール氏の極右勢力。そしてメランション氏を中心とした極左勢力。それぞれが他の小さい勢力もふくめ、どれだけ支持を増やせるかがポイントとなる。