その後は緑色になるか。

投稿日時 : 2020/05/19 18:00

「エコロジー:マクロンのもう一つの現場。感染症危機のあと、本国にとって今後最も重要な課題の一つが、経済の再活性化と環境への配慮を両立させることだろう」
Le Parisien紙、5月18日付けの表紙。

日本のニュースなどは、ほぼ大半が経済関連の話題ばかりが目に付くが、フランスでは、メディアも政府も経済問題をとりあげるが、それ一色ではない。とくに、日本で全く問題にされないのが、やはり環境問題。

日本での「新しい生活様式」に環境問題はまったく関わらないが、フランスでは、環境問題、エコロジー意識が、新しい生活の要の一つであり、Covid-19によってそれまでの傾向が加速されているようだ。Le Parisien紙でも、今後の政治・社会・経済の問題として、はっきりと経済の回復と環境問題への取り組みをどう両立させるかが重要な政治課題であり、社会問題であるとしている。

くしくも、昨日、フランスの国会では、大統領の支持政党である与党から17人の議員が新たに9つ目の政治集団を結成し、与党は象徴的にではあるが、単独で過半数をとれなくなった。その集団の名前が「Ecologie Démocratie Solidarité:エコロジー、民主主義、連帯」だ。この名称がフランスの社会・政治でいま何が一番大切とされているかがわかる。

「エコロジーもまた待ったなし」
Le Parisien紙、5月18日付け、中面。

とはいえ、この二ヶ月近くのコンフィヌモン(隔離)の間、エコロジストたちの声は多くは聞かれなかったのも事実だ。メディアも取り上げたのは都市部に現れた野生動物のスナップショットくらい。それでも、5月6日には、Le Monde紙で元環境大臣でのニコラ・ユロ氏が提言をするなど、フランス社会が再稼働しはじめるにつれて新しい社会に向けた動きも活発になってきている。

ただ、さらには、こうした新しい社会へ向けた動きに関しても、「結局はなにもかわらず、元の世界にもどるだけ、しかもより悪い状態に」とシニカルな見方をする知識人もいる。