フランスは多様性の国。

投稿日時 : 2024/08/08 17:30

「リュシー・カステは、首相指名キャンペーンのあいだ、妻と子どもを守る」
仏版Huffpostのウェブサイトより。Screenshot

旅行中の外国人観光客や、外国メディアも指摘しており、さらにそれをフランスのメディアも取り上げているように、パリ五輪は大成功で、「こんな幸せなフランス人はみたことがない」「パリジャンは親切だ」「パリは素晴らしい」など、開催前のフランスやパリ、パリジャンのイメージ(外国時にに不親切なパリジャン、フランス人、ストライキなどでもちゃんと機能しない公共交通や公共サービス、不親切な店員などなど)が(ほとんど)まったくなく、やはりパリは素晴らしいと、オリンピックという世界規模の広報戦略は大成功のようだ。

一部で、特にフランス国外で、物議を醸した開会式も、フランス国内やフランスのメディアではそこまで問題にされておらず、全てはフランスが誇る多様性をみごとに表現したともいわれている。政治はもちろん、性も、歴史や伝統も、宗教にも多様性を認めるだけではなく、それを批判したり、笑いに変えることすらも含むという器の広さというフランス的な多様性だ。

いよいよ終わりが近くなったパリ五輪、その後の事も心配されており、政治ではオリンピックが終わった月曜日には、この勢いでマクロン大統領がなんらかのアクションを起こすともいわれている。フランスが柔道や水泳で金メダルを取った際にはバカンス地からパリに戻っていたマクロン大統領。アタル首相も、盛り上がってる国民たちと一緒に応援するところを取材させたりと、オリンピックの盛り上がりに便乗している感はある。

さらに、大統領勢力では、左派連合が提案している首相候補に対抗して、数名の別の候補の名前をあがっているという。

そして、左派連合が提案しているリュシー・カステ氏は、ピープル誌、「パリ・マッチ」で独占インタビューを公開した。「パリ・マッチ」は、例年だと、マクロン大統領のバカンス中の写真を掲載したりして、政治家の一つの広報戦略としてもつかわれる媒体であるが、さすがに今年は、マクロン大統領は、地中海のバカンス地でジェットスキーをしている写真(さらには自慢の(?)胸毛をみせるような上半身裸)を掲載させる訳にもいかないが、このタイミングで、一般国民にはほとんどしられていない首相候補のカステ氏は、この雑誌を選んで、広報戦略を繰り広げた形になった。

そこでカステ氏が、カミングアウトしたのが、自身のプライベートについて。30台後半の彼女は、別の女性と結婚しており、彼女との間に2歳半の子どもがいるという。

高齢者(かつ特に男性)が仕切り続ける日本の政治やメディアの環境からみれば、オリンピックの開会式のように、この話題すら多少の驚きかも知れない。
しかしこのインタビューを受けて、もちろん、フランスのメディアもこの事実を報じているが、それ以上でも以下でもない。すでに、アタル首相も、ゲイであることは公表しており、首相に任命されたときは周知の事実で、それだけで話題になることもなかった。

オリンピックが終わった後、基本的にはまだ二週間はバカンスモードのフランスだが、政治は再び動き出しそうで、オリンピックのお祭りムードがどのくらい続くのかも注目だ。