左派連合:終わりの始まり?

投稿日時 : 2024/07/19 17:01

「総選挙後、左派連合NFP内閣を望んでいるのは、フランス国民の23%だけ」
地方紙Sud Ouestのウェブサイトより。

昨日の国会議長の選出。3回の投票をすべて行い、6時間かかってきまったのが、前議長で、大統領派のブロン・ピヴェ女史。左派連合からの候補で、共産党のアンドレ・シャセーニュ氏とはわずか13票差だった。

国会での勢力がどうなるかが問題になっていたが、この選挙でわかったのは:
・国会でも三つ巴状態が解消されず。
・左派連合は自分たち以外の支持をえられず。
・右派勢力と大統領勢力は協力体制に。
・裏でどのようなやりとりや、計算があったかはわからないが、2022年の議長選挙では、与党勢力に協力する形をとった極右政党RNは、自党の候補者を最後までとりさげず、強い野党勢力という立場を貫いた形をとった。

この後、金曜日と土曜日で、国会内での重要な委員会の委員長や副議長が決めれるが、これもどの政党グループがどの委員会のリーダーになるかが注目されている。

もちろん、メディアでは、この結果の解説や解釈、さらに今後のシナリオについて、様々な見解やコメントが溢れている。

これでマクロン大統領はおそらく、オリンピックが終わるまで、ひょっとしたら9月の新年度まで新しい首相を決めずに、政党どおし協議にまかせるとされる。

そして、左派連合だが、そもそも、極右政党RNの躍進に対抗して出来た連合にすぎず、そもそも、政策はもちろん、政治信条など、根本的なところでは合意はなく、政治戦略にしても考え方が違うことがやはり障害になっていることが明らかになった。特に極左政党LFIは、そもそもリーダーで創設者のメランション氏が2027年の大統領選挙で勝利することが究極の目標で、現在のフランスの政治状況では、内閣に参加することはメリットは少なく、野党として、場合によっては、極右政党RNともつるんで、内閣に異を唱える勢力であったほうがよいという計算もある。そうした意味では、極右政党RNも同じビジョンで、究極の目標は2027年の大統領選挙でマリーヌ・ルペンが勝利することだ。

となると、左派連合でも、極左政党LFI以外が、全体として、あるいは一部が、大統領勢力に合流するというシナリオもみえており、誰がイニシアティブをとるのか、どういう動きになるのかはわからないが、結果として、左派連合が分裂して、極右と極左を除いた、大きな「連合」ができる可能性もありえる。

ただし。ロードマップとしては、2027年の大統領選もあるが、1年後に可能になる国会の解散もあり、それを踏まえて、どう動くか、各政党や政治グループ、各議員の思惑が交錯している。

そして、世論調査でも、フランス国民は、極右政党RNの内閣も望んでいなかったが、左派連合の内閣も望んでおらず、経済界でも左派連合の内閣は歓迎されていないという世論調査などもでている。