アールワン(R1)ではなく、アールゼロ(R0)

投稿日時 : 2020/07/17 18:30

「R0マップ」
15日夜の民放テレビ局TF1のニュース番組より。

日本でも、誰もが言葉を避けるかのように、「第二波」とは断定せず、「非常事態宣言」の可能性も明確にしないまま、連日Covid-19の感染者数が伸びてきている。フランスでも、バカンスにはいっての気の緩みもあるのか、第二波の懸念が数字に表れてきている。マクロン大統領が8月1日から公共の閉ざされた空間でのマスク着用の義務を発表したが、それでは遅いという声も大きくなりつつある。

日本ではあいかわらず、公表される数字は、感染者数、感染率、陽性率などで、東京ではそれが100を越えたとか、200を越えたとかでメディアは騒ぎ、役人などは、検査数が多いからとか別の数字を持ち出して相対化しようとしている。これに対して、フランスでは、数ヶ月前の感染拡大時期でも大きく取り上げられていたのは、感染者数や重症患者数ではなく、病院での重篤患者数や入院者数で、これはいかに医療体制が大変であるかを客観的に示すわかりやすい数字だった。この数字の推移をみて、国民は医療従事者の大変さを理解し、毎晩支援のエールを送り、7月14日のパレードにも医療従事者が呼ばれた。

そして、ここ数日の「第二波」の懸念で取りだたされている数字が、「R0:アールゼロ。フランス語ではエールゼロ」。日本語では、基本再生数とされる感染症の用語で、一人の感染者が何人に移すかという数字だ。1より小さいと、一人以下で、終息に向かい、1より多いと感染拡大の危険があるという。これがフランスの場合、地域によっては1を越え始めているという。

日本では大阪モデルとか、レインボーブリッジの色とか、わかりやすいようでわかりにくい恣意的な指標だが、フランスはより客観的かつわかりやすい数字で「広報活動」をしている。

この数値によると、当初感染が集中していたフランス東部は終息に向かっているが、次はフランス西部で感染拡大の傾向がみられることがわかるという。これも日本と同じように、感染流行地域からの人の移動があるということだろうか。