映画と政治2023

投稿日時 : 2023/05/29 17:30

「カンヌ映画祭、物議を呼んだジュスティーヌ・トリエの演説;フランス映画の資金調達問題」
Le Parisien紙のウェブサイトより。

日本の大手メディアでは、日本人の受賞の話だけといっていいほどしか取り上げられれないカンヌ映画祭だが、フランスではもちろん、フランス人監督がパルムドールを受賞したこと、しかも女性監督では史上3人目で、大きく取り上げられた。

そしてメディアを賑わせているのは、トリエ監督の受賞演説。フランス政府が年金制度改革を強行させた事に触れ、政府による「文化の商品化」を非難するなど、「政治的な」演説になった。会場では、もちろん世界各国の招待客もいたが、フランス政府を糾弾したくだりでは拍手がまきおこった。

その後も、この「政治的発言」に賛同するものもいれば、非難するものもいる。文化大臣は、早速反論をした。発言の自由は認め、そこについてはいうことはないが、政府が何もしていないというのは間違いで、今回のカンヌ映画祭の会期中にも会場を訪れ、映画界への支援を発表したり、コロナ禍でも「史上最高額の」支援策を打ち出しているとした。

年金問題や、フランス映画の支援などの問題があるのはわかるが、そこでどういう立場、意見を持つかではなく、カンヌ映画祭の場で、それを持ち出すことがどちらかというと問題にされている。ただ、そもそも、フランスのカンヌ映画祭とは、歴史的にもそれなりに「政治的な」場であることも事実だろう。