三つ巴の境界線は曖昧。

投稿日時 : 2024/07/10 17:30

「フランス2024国会議員選挙の結果」
20 Minutes紙のウェブサイトより。

昨晩、サッカーのユーロ杯でフランスはスペインに敗れ、決勝に進むことはなくなった。渡米中のマクロン大統領は、「国会の構図ができる」のをまって首相任命の決断をするというが、それが18日の国会議長の選出なのか、10月の本国会の始まりなのか、明言しておらず、フランスのメディアも様々なシナリオの解説・分析をするばかり。

今週中に、一人の首相候補を提案するという左派連合も、ほぼ秘密裏に会合をしているがまだ決まらないようだ。

今回の選挙で、フランスの国会はかなり舵取りが難しい構成になった。
大枠では、三つ巴状態で、左派連合、与党勢力、極右政党RNだが、実はもっとややこしい。

なるべく簡単に数字だけをみると:
・総議席数:577。
【左派連合】180。
【与党系】163
【右派と協力者】:66
【極右政党RNと協力者】:143
【その他】25

どのグループも単独では過半数の289議席には満たない。
>なので、他のグループから協力者を見つけなければならない。

これが皆が一致している大前提で、過半数、あるいは過半数に近い多数派(220-250議席)を見つけるために、水面下での交渉が始まっており、これは18日の議長選出でまずは試されることになる。

ここから、ややこしいというか、様々なポイントがあり、それらの分析や判断が一概にはいえず、かなり難しく、これはどの政党でも同じ。

難しいポイントとしては例えば:
・左派連合NFPを一つのグループとしては認めない:特に与党勢力は、極左政党LFIとは選挙協力しないという立場。極右政党RNも、単独「政党」では自分たちが第一党だと考える政治家もいる。
・左派連合の中でも、LFI、とくに創設者のメランション氏とは距離をとる議員が多く、そもそも左派連合内の統制も問題とされる。
・左派連合には、与党勢力と組むという動きもあるが、与党勢力のLFI嫌いの議員とどう妥協案が見つかるか。
・与党勢力としては、極左政党LFIを除いた左派連合と協力という可能性もあるが、右派勢力、そして一部の穏健(?)極右を取り込んでもよいという考え方もある。
・さすがに左派連合の中にはいないが、与党勢力や右派勢力には、場合によっては(?)極右政党RNの側についてもよいという議員がいる可能性も。
・そもそも、次の内閣も首相も、かなり難しい舵取りになるのは必死で、貧乏くじとなっていて、実はどこもやりたくなく、1年後の解散を見越しての計算、さらには、2027年の大統領選挙を見据えての戦略を練っているところもあるという。