ソウルフードの危機

投稿日時 : 2019/05/13 18:30

BFMTVのサイトより。「バゲット、フランス料理の逸品の危機」

日本人がお米を食べなくなってきているように、フランス人もバゲットを食べなくなってきている。

ここ10-15年の間の、社会状況の変化に伴う、生活環境・生活習慣の変化によって、フランスの食文化に深く根付いていた「バゲット文化」が変わりつつあるという。この話題は、先月、毎年恒例の、パリの最優秀バゲット(これが大統領府で使われるバゲットになる)の発表のあと、5月13-19日のパン祭り(Fête du pain)にあわせて取り上げられた。

バゲットの危機の理由はいくつもある:
・食生活の変化:忙しい朝にそもそも朝からパン屋にいってバゲットを買わない。若者はシリアルなどを好む。富裕層(?)を始め、近年の無農薬や有機などの流行の流れもあり、小麦と水が主原料のバゲットよりも、麦芽入りなど、凝ったパンを好む傾向がある。(現在のバゲットという言葉も20世紀に入ってからで、当初は、保存期間も短いので、高級な食べ物で、庶民はより保存が利くパンを食べていたが、それが時代と共に庶民の食べ物になったという)

・ランチに、バゲットを使ったサンドイッチが主流だったのも昔の話で、今は、Bentoも含め、多くの選択肢がある。ディナーも、ワインやチーズが主流でない今、バゲットも当然消費が減っているという。

・作り手の不足。朝早くからの仕込みも必要にもかかわらず、もうけも少ないという薄利多売のパン職人は人不足にある。その上に、工場での大量生産のバゲットが安い値段でスーパーに並ぶ。

1993年にこの「工場製のバゲット」に対して、従来の職人のバゲットは、「伝統的(traditionnelle)」という呼称をつけて、添加物などの制限もしてこのフランスの伝統的なバゲットを守ろうとする動きができた。

このフランスのバゲットを、フランス料理に続いて、ユネスコの無形文化遺産に登録することで、バゲットの復権を関係団体などが動いているが、他の団体でも「パリのブキニスト」や「パリのビストロとカフェ・テラス」という業界も動いているという。