5G:デジタルと環境問題

投稿日時 : 2020/09/17 18:00

「5Gの議論の5の要点」
経済紙Les Echosのサイトより。

日本では新しい内閣にデジタル大臣が誕生し、首相自らが携帯の料金の値下げを求める中、まったく触れられていない話題で、逆にフランスではここ数日一斉にとりあげられている話題が、5Gについてだ。

おおざっぱな問題の構図は、5Gのサービスの開始をすすめたい政府と(もちろん)携帯キャリアに対し、エコロジー系のアソシエーションや政党などが、アンテナを配置する場所の環境問題、電波・電磁波などによる健康被害、大容量のデータ通信によるエネルギー消費の問題などで反対をしている。

ここ数日は、すでにサービスを始めているスイスの例をあげ、反対派の運動で予定よりも遅れている現状を伝えたり、もちろん様々な専門家(通信業者、研究者、医療関係者、アソシエーションなどなど)がそれぞれの立場から発言をしている。

月曜日にマクロン大統領は、フランスは5Gに向かって進むと明言、技術革新の要だとし、拒否するものたちを皮肉って、「アーミッシュのよう」だとか「オイルランプの時代に戻る」ことはないと言ったことからさらに白熱している。

アンテナや中継基地局の設置場所の環境問題、アンテナからの電磁波による健康問題については、はっきりとした科学的根拠がどちら側にもないのが現状で、完全に安全だという科学的根拠も、影響があるという報告もまだない。

ただし、フランス語圏のメディアでは大きく反対派の話題が取り上げられているが、反対している人はそこまで多くないかも知れない。日本のメディアとは違って、いなかる問題でも、反対派の意見もしっかりととりあげ、議論をする姿勢がある。さらに、フランスの場合、この5Gの問題(他の問題にも)で、鍵を握るのが、去年の秋に、ジレ・ジョーヌの運動や環境問題への市民への関心を受けて、政府主導で創設された「Convention Citoyenne pour le Climat:気候のための市民によるコンベンション(会議)」だ。この一般市民からなる会議は、マクロン大統領に150の具体的な提言(気候に関する)をしており、他のエコロジー関連の団体や政党に加えて、この政府が認めた市民による組織もまた政府の環境に関する政策に目を光らせているという構図だ。

そしてもちろん、フランスのメディアもこの構図をわかったうえで、取り上げている。