30年を超えて勢いが衰えないフランスの文化専門テレビ局

投稿日時 : 2022/05/31 17:30

「“こんなに視聴者がいたことはない”30年の間、アルテは垣根をなくしている」
カトリック系新聞La Croixのウェブサイトより。

5月30日、フランスとドイツが共同運営している文化専門テレビ局ARTE(アルテ)が開局30年を迎えた。

30年前、当時のフランスの大統領フランソワ・ミッテランとドイツの首相、ヘルムート・コールが仏独の交流の大きな提携として実現したのが、世界でも唯一の文化専門のテレビ局だ。

フィクション映画、オペラ、演劇、クラシックからロックまでのコンサートやライブ。映画にしてもフランスやドイツ、ヨーロッパだけでなく、様々な国の映画も放映し、ドキュメンタリー番組も幅広いテーマを取り上げている。日本のNHKやイギリスのBBCとはまた違った文化・教養に特化した放送局で、原則、仏独で同じ番組が放映されているが、視聴者はフランスの方が多いという。

フランスでも、大手のアマゾンプライムやNetflixなどが幅をきかせているが、アルテもウェブサイトやアプリでもオンデマンドサービスが充実しており、文化や教養を求めるフランス人には人気だという。

そして今年のカンヌ映画祭のパルムドールを撮った作品にも、アルテが製作に参加している。

ただ、マクロン大統領が二期目に向けての選挙公約で、テレビを持つ全世帯に義務だったテレビ視聴税(redevance)の廃止を宣言しており、公的な支援が減ることでの制作への影響も懸念されているという。