1200ユーロの年金?

投稿日時 : 2023/02/15 17:30

「1200ユーロの年金? 自身の発言で困るオリヴィエ・ヴェラン(政府報道官)」
仏版Huffpostのウェブサイトより。

もう1ヶ月以上もフランスで大騒ぎの年金制度改革問題。今月から始まっているフランス議会でのやりとりも、「幼稚園児の喧嘩」、「屋外のデモ」などのレベルと評されたりもするほど、ヤジや暴言で、議論にはほど遠い場面ばかりがメディアでは取り上げられている。

そもそも、年金制度自体が複雑で、フランスは特に現行の年金制度も複雑な上に、それをさらに簡略化、合理化するという目的の改革案ですら、かなりわかりづらい。受給開始年齢を現行の62歳から64歳に引き上げる、というポイントだけがクローズアップされているが、実際の法案はわかりづらい。

ごく簡単にいうと、64歳からというのは、厳密には、43年分の保険料を支払ったらということで、1年分とはさらには厳密には3ヶ月単位の納入期間を4回とカウントされる。ここで、女性の妊娠期間や、きつい職種、さらには障害者などはこのカウントの原則から控除が適用されるし、逆に20歳以前から働き始めた場合も問題になる。これまでのフランスの年金制度は、この例外が余りにも多いのが問題だったりした。これまでの組合側の反対運動なども、この受給開始年齢を主な攻撃ポイントとしていたが、これがわかりやすいポイントという事もあった。単純に言えば、今よりも2年長く働かなければならないという理解で、毎年バカンスに出かけたいフランス人にとってはわかりやすい。そこから派生して、女性の場合のカウントの仕方とか、若いときから働いた場合、「きつい職種」などの例外措置について、問題にされていた。

ところが、今回の年金制度改革案は、そもそも多くのポイントがあり、先週末から取り上げられ始めたのが、政府が提案していた「最低年金額は月1200ユーロ」という触れ込み。あたかも、全ての人が最低この金額をもらえると捉えられるような言い方をしていたのだが、ここにも落とし穴があり、実際は、「満期で、最低賃金の給与を得ていた場合」という条件付きだという。これは法案では明確にはされていなく、曖昧にされていたが、メディアなどの追求もあって明らかになってきた。

若いときから長期に働いている場合や、女性などについても、政府の改革案では曖昧なところがあり、さらに問題になってくる可能性も大いにあるという。

明日もデモが予定されており、今週末でいったん終わる国会本会議の審議も進んでいない。