日常も再開、政治も再開

投稿日時 : 2021/06/04 17:30

「年金問題:エマニュエル・マクロンはこの夏、”厳しい決断”の可能性を示唆する」
経済紙 Les Echosのサイトより。

1ヶ月間の間(つまり、7月14日の恒例のテレビ演説までの期間であり、それ以降は原則バカンスモードになる)、10カ所近くの地方を回ることになっているマクロン大統領。

注目されているのはもちろん、感染症対策関連の決断や発表だが、来年の大統領選挙まで任期が1年をきり、公式には発表はされていないが、再出馬するだろう現大統領の来年を見据えた発言などもとりあげられている。

日本では「コロナ禍」という言葉を使っているが、フランスでは「Crise sanitaire」。Criseは経済危機などにも使う、「危機、クライシス」で、Sanitaireは「保健(衛生)の」という意味で、危機の問題はCovid-19というウイルスだけではなく、それによる国民の健康、社会衛生体制が脅かされているという捉え方だ。だから、日本の「非常事態宣言」はあたかもウイルスの感染状況だけで左右されているようだが、フランスの「非常事態宣言」は社会全体の保健衛生状況について出されているように、昨年からずっと継続中で、解除されるのは今のところ9月30日と予定されている。

フランスの日常生活の再開は6月30日となる予定だが、非常事態宣言はそれ以降も続く可能性がある。それと平行して再開し始めているのが、政界の動きだ。今月末には地方選挙などもあり、来年の大統領選挙までも1年をきっている。そんななか、マクロン大統領が言及をはじめたのが、「コロナ禍」以前にもっとも大きな問題となっていた、年金制度改革の問題だ。もともと、マクロン大統領の重要政策の一つで、改革は避けられないという。

ただし、コロナ禍で状況はかわったようで、以前やろうとしていたように改革案が再開するのではなく、関係団体や専門家などからの報告などを受けているという。コロナ禍というニトロ爆弾で、年金制度改革という爆弾は吹き飛んだかに見えたが、この秋以降、フランスでは再度、年金制度改革という別の「危機」が再発する可能性がある。