フランス人と春と新型コロナウィルス

投稿日時 : 2020/03/16 18:00

「コロナウィルス:“お気楽な”フランス人に指示勧告」
20 Minutes紙のサイトより。写真はパリのButtes Chaumont公園。



木曜夜のマクロン大統領のテレビ演説に続いて、土曜日にはフィリップ首相が会見。フランスはステージIIIに入ったとし、生活に必然とされない全ての商業活動を当面の間(指示があるまで)閉鎖するとした。

日曜日の選挙は行われたが、記録的な投票棄権(abstention:フランスでは、投票した人をカウントするのではなく、しなかった人をカウント)で、与党政党はむしろ不利な立場に。来週の決選投票が行われるかは数日中に決めるとした。
例年よりも早い春が訪れ始めている日本では、お花見も「自粛モード」であるが、フランスでも特にパリでは春の陽気が感じられた日曜日、つまり首相の会見があり、月曜日からは学校が一斉休校というなか、パリの公園やセーヌ川沿い、運河沿いでは人が多く集まった。

そもそも、フランス人個人は人の言うことを聞かず、政府の「要請」はもちろん、「禁止事項」も守らない。というか自分で判断して決める。デモやストライキの文化にも通じるフランス人精神、気質だろう。新型コロナウィルスの脅威については理解した上で各個人が判断しているし、いまのところ、政府がなんといおうが、ウィルスの脅威よりも、冬が終わった春の公園の魅力が勝っている。
政治家や政府が言うことだけでなく、専門家がいうこと、さらにはそうした発言を伝えるメディアがいうことですら、100%信じることがないのがフランス人。よく言えば批評精神があるのだが、各自が誰からも干渉されることがない信念をそれぞれもっており、これをまとめるのは大変だ。

ただ、フランスには、「連帯(Solidarité)」という精神も大切にしているので、そこに救いはあるかもしれない。本日、月曜朝からフランスの各メディアでは、こうしたフランス人市民の反応を分析している。

こうしたフランスの状況をみていると、日本やアジアの国で統制がとれている(良くも悪くも)のも、悪くはないのかとも思われる。もちろん、日本でも、東京の山手線の新駅の開業日に5万人以上が集まったり、学校が休みになった中高生が街に溢れている光景は日本的な矛盾だ。

また、フランスはステージIIIとしたが、これが日本でも良く使われている感染拡大のグラフで一番のピークにきているという状態だ。ただ、これはガンのステージとは違い、次のステージIVは、このピークが過ぎて感染が収まってくる段階となる。このステージIIIの問題は、感染の規模がどのくらいかわからないこと(期間・感染者数など)と、医療システムがどのくらい耐えられるかにある。