バカロレア2019 その2

投稿日時 : 2019/06/19 18:30

Le Monde紙のサイトより。「バカロレア2019、地理歴地:“文系の文献研究は難しかった”」

日本で、フランスのバカロレアが取り上げるときは、大抵、哲学の問題を紹介して、フランスの高校生の大学入試は、こんな(難しい)問題が一問だけの記述式で、マークシートの日本の大学入試とは全く違う、という紹介のされ方が多い。

哲学だから、抽象的な難しい問題なのではなく、そもそもこうした「試験」の考え方が違う。これは小学校から大学まで同じ形式で、科目も関係ない。これは日本が小学校からすでに選択式、穴埋めの試験で、最後は就職活動の採用試験、国家試験も選択式、穴埋め式という日本とはまったく考え方が違う。

理系の地理歴史の問題が下記:

第一部(歴史):次の二つから一つを選んで論ぜよ:
«La Chine et le monde depuis 1949» 1949年以降の中国と世界
«La gouvernance européenne depuis le traité de Maastricht»マーストリヒト条約以降のヨーロッパの統治

第二部(地理):inégale intégration des territoires dans la mondialisation(グローバリゼーションにおける領地統合の不均衡)を与えられた地図で描け

これは別に一流大学を目指す高校生向けの問題ではなく、大学入学を希望する全ての人が解く問題だ。

日本の理系の高校生がこれを解けるか、というのは比較にはならないだろう。フランスの教育は、そもそも18歳でこのような問題が解けるような教育を最初からしているということだろう。

さらに見方を変えれば、それを採点する大人も、こうした問題を採点できる器であるということだ。だから、日本ではこうした問題を解けるような教育をそもそもしていないし、大人もこうした問題を教え、評価できるようにはなっていない。

だからといってフランスの方が優れているということではなく、教育や学問に対する考え方が全く違うということだ。