ノエルはまだ遠い。

投稿日時 : 2019/12/04 18:20

「年金制度改革:なんと無駄な!」
L’Obs誌のサイトより。
(写真のプラカードには、“盗人マクロン、俺の年金を返せ”)


いよいよ明日に迫った12月5日のゼネスト。今朝のフランスのメディアはもちろん、この話題を大きくとりあげている。パリ市民がどうやって準備しているか、交通網が麻痺する対策などの紹介など。

そんななか紹介されているのが、この記事にあるような最新の世論調査。これはIFOPなどが行ったもので、それによると、年金制度改革に賛成のフランス人は76%、さらにマクロン大統領が提案している「特別措置」の解消にも61%が賛成している。その一方で、年金制度改革についてマクロン大統領と政府を信用しているかでは、64%が信用していないと答え、まさに「特別措置」の恩恵を受けている鉄道職員の現在などが中心の12月5日のゼネストは三人に二人が賛成している。という、一見矛盾している調査結果が出た。

これは、いかにもフランスらしい世論調査の結果で、日本の世論調査では、どんなテーマでも「どちらでもない」が多かったり、他の選択肢がないから賛同となるだろうが、意見をはっきり言うのがフランスで、原則としては賛成だが、自分や周りで実際に改革で不利になるのは困る、という、とてもフランス人、人間らしい反応だ。

年金制度改革について、マクロン大統領は、大統領選の時から、年金制度改革については、1ユーロを積み立てれば、誰でも同じ額の年金をもらえるという触れ込みで、40以上もある特別措置区分を撤廃して、皆が同じ年金制度(Retraite universelle)にすると提案していた。この最初の考え方自体は、マクロン大統領が大統領に選ばれたように、原則として、まさにフランスの「平等」精神に則っており、労働組合ですら賛成だったという。

ただ、上記の記事などでもまとめているように、実際の改正法案を作り上げていく過程で、「基準年齢(âge pivot)」とか、年金保険料の払込期間の延長などの概念を加え出したこと、さらには、失業保険制度の改革で失業保険受給条件を厳しくしたように、年金制度改革でも、政府の本来の狙いは、国の支出を抑えることではないかという疑念が組合や国民に生まれているという。

マクロン大統領は、原則は間違っていなかったが、コミュニケーションの仕方を間違ったのではないかともされている。明日の年金制度改革反対のストライキは、それぞれの分野(鉄道系、電気会社、教育などなど)で具体的な要求内容も異なり、全てが納得する解決策は難しいとされている。

昨日、トランプ大統領とは、強気の対応を見せ、アメリカのメディアにも「wow」と言わしめたマクロン大統領。明日(以降)、フランスではどのような対応をするだろうか。