今週も続く。(そして来週も!?)

投稿日時 : 2019/12/09 18:15

「年金制度改革の真実の週」
経済誌Les Echosのサイトより。

フランスではストライキが継続中。政府側は水曜日に年金制度改革案を発表するとこの週末に発表した。2年間にわたる専門家や関係者などとの協議のすえの改革案だが、具体的な内容が明らかになる前からの反対やストライキ。組合側は直前まで圧力を緩めず、火曜日にもデモを予定。その後、木曜日にも予定しているという。

フィリップ首相は、Le Journal du Dimanche紙(フランスの一般紙は日曜は休刊なので、この“日曜新聞”が唯一の一般紙)のインタビューで、政府の方針は変えないとあらためて表明。お互いが譲らない構造は変わらず、新しい週が始まった。


対立を単純にいうと、42の特別制度(中でも組合の力が強いのが鉄道職員)を守りたい労働者(とはいえ弁護士なども特別措置対象)と、特別措置制度を廃止して全国民一律の年金制度を目指す政府だ。


メディアなどで取りざたされているのが、通称Clause du grand-père(おじいさんの約束)と呼ばれる、新制度適用開始を、当初予定されていた1963年生まれではなく、1973年、あるいは1978年生まれから対象にする(運用開始は2025年)という案。つまり現在働いている人ではなく、これから働き始める若者から新しい制度にすることで、現役世代の反対を和らげ、緩やかに移行するというもの。政府としては、これが妥協点の一つとされているが、水曜日の発表で実際はどうなのか、他に妥協してくるところがあるのかと推測されている。


さらに年金制度改革での問題点は、フランスの現在の年期制度にあるPénibilité(仕事のつらさ)という指標だ。この「ペニビリテ」という指標・考え方によって、年金受給資格や条件などが決まっており、これは原則として特定の職業分野によるというよりは、労働条件がきつい(Pénible)とされる働き手への優遇措置だ。考え方としては、「きつい仕事」をしている人は、寿命(espérance de vie)も短い、だから早めに年金を受け取ることができるようにしようというもの。鉄道職員などはまさにこの点で最も恩恵を受けている職種の一つだ。

新しい年金制度改革案では、受給開始年齢や積立期間はもちろん、この「ペニビリテ」をどうするのかも組合側などとの協議点となる。

新しい週が始まったが、まったくどう収拾するか現時点ではわからない。ここ最近の日本での政治関連の問題はいつのまにかメディアでも扱いが弱くなっていき、国会の会期が終わったら政治の話題は減少するとは違い、フランスのメディアは同じ年金制度改革の問題でも次から次へと、同じ話の繰り返しではなく、いろいろな話題を提供し、様々な論説や解説で溢れ、今週からはストライキの長期化による経済や観光客などへの影響の話題がではじめている。

「ライブ:12月9日のスト。イル・ド・フランスでは600km以上の渋滞…。パリ交通公団の車両基地の3分の1がスト参加者によって封鎖中…。
20 Minutes紙のサイトより。